三軒茶屋 野沢 下馬のふじわら歯科医院です。梅雨で大雨が降ったかと思えば、今日は気持ちの良い晴れですね。
さて、よく質問されますので、「訪問歯科の代金」について、書かせていただだきます。
歯科医院に通えなくなったご高齢の患者さんやご家族に、「訪問診療をご利用になってはいかがですか?」とお話すると、「それはすごく助かるけれど、往診料はいかがほどですか?」という質問をよく受けます。往診料が高いのではないかとご心配なのでしょう。
訪問診療は、からだが不自由で自力では通院が困難な方が受けられる公的医療サービスです。個人のお宅だけでなく、介護施設や病院におられる方も受けることができます。ですから、「元気だけど通院が面倒だから来てほしい」という方は対象にはなりません。健康保険や介護保険を使って訪問診療を受けるのですから、必ずきちんとした理由が必要です。
それではここからは、もっとニーズが多いと思われる、要介護認定を受けて在宅介護を受けておられる高齢の患者さんへの訪問診療を例に挙げながらご説明していきましょう。複雑な話になりやすいのですが、なるべくシンプルにわかりやすくお話ししてみます。
要介護認定を受けた患者さんが歯科の訪問診療を受ける時にかかる費用は、大きく分けて3つあります。ひとつ目が「歯科訪問診療料」。二つ目が「居宅療養管理指導料」、残る三つ目が「検査・治療代」です。
「歯科訪問診療料」というのは、つまりは歯科医師や歯科衛生士の往診費です。「居宅療養管理指導料」というのは、歯科とケアマネージャーが連携し、ケアマネージャーがケアプランを作成する際に必要な情報を提供したり、患者さんやご家族に歯科の専門家として助言や指導を行う費用のことをいいます。「検査・治療代」とは通院するときと同じ、いわゆる治療費です。治療費は歯科医院で受けるのとほとんど同じです。
つまり訪問診療を受ける時に支払うのは、「往診代」+「ケアマネージャーとの連携代&指導代」+「治療費」ということになります。
さてそれでは、「歯科訪問診療料」ですが、在宅の場合、一軒のお宅に患者さんがお一人いるとすると、870円になります(訪問先に何人も患者さんがいる施設や病院では一人あたまの歯科訪問診療料はもっと安くなります)。
治療費は歯科医院で受けるのとほとんど同額です。保健治療なら、負担額が1割の方なら自己負担の費用は1割。ただし自費治療を選択すれば(たとえば金属床の義歯を作るとか)保険は効きません。
ということで、訪問診療で、治療費以外にかかる金額は、1222円〜1725円の間ということになります。ザックリいうと、「治療費+1500円前後」が目安になると考えていいでしょう。無理をしてタクシーで通院なさるよりもご負担は少ないのではないでしょうか。
なお、歯科の訪問診療は、ケアマネージャーが策定しているケアプランとは別枠ですので、訪問診療のために現在受けている介護サービスを削る必要はありません。
歯科の訪問診療をご希望の場合は、かかりつけの歯科医院に相談して往診をお願いするか、訪問診療を行なっている歯科医院を紹介してもらいましょう。また、地元歯科医師会や担当のケアマネージャーに相談するのもよいと思います。ケアマネージャーと歯科医院が連絡を取り合い、ときにはケアマネージャーに立ち会ってもらうこともできます。とくに初診では、持病や体調についてケアマネージャーに確認し相談しながら進められると、患者さんにとっても歯科医師にとっても安心です。