月別アーカイブ: 2014年9月

虫歯予防=歯磨きは間違い?

三軒茶屋のふじわら歯科医院です。
あなたは今、虫歯予防の為に何をしていますか?やはり歯磨きでしょうか。
私たちは子供の頃から、虫歯にならない為に、歯磨きをするように教えられてきました。しかし、ほとんどの人が歯磨きをしているのに、虫歯ができています。
どうしてなのでしょう。歯磨きによる、虫歯予防は、本当に正しいでしょうか。

まず、虫歯ができる仕組みについて考えてみましょう。
虫歯ができるには、3つの登場人物が必要です。それは、「歯」と「菌」と「糖」。
この三角関係のバランスが崩れた時に、結果として、虫歯が作られるのです。どれか1つでも欠ければ、虫歯にはなりません。例えば、総入れ歯の人は、虫歯になりようがありませんよね。しかし、一本でもあると、この三角関係が成立します。
多かれ少なかれ、誰でも菌を持っています。また甘いものが苦手でも、食事を取らなければ生きていけません。糖は私たちが生きていく中で、エネルギー源として必須なものです。となると、食べ物が口の中に入った時には、この3つが必ず登場することになります。すると、どのような状態になるのでしょうか。口の中では食事の度に「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されています。このバランスがとれていれば、人の体は虫歯にならないように出来ています。しかも現在では、虫歯のメカニズムは解明され、虫歯にならない方法や対策も確立されています。それなのに、虫歯になる人の数は数十年前と変わっていません。歯科医院の数は、その間に何倍も増えたのに。

その原因は、教育が変わらないから、なのかもしれません。「甘いものを食べると、虫歯になる」「歯磨きしないと、虫歯になる」。このようなほんの一部の情報しか伝えられていないので、みんな中途半端になってしまうのです。患者さんに教える側である歯科医師や歯科衛生士にしても、歯科の学校に入る前の、子供の頃の教育がベースにあります。それは、虫歯があるのが当たり前という世の中。小学校や中学校では、虫歯ゼロの人が表彰されたりするくらい、誰もが何本かは、虫歯があるというのが当然という社会です。そのために、「治療」に重点をおいた歯科教育がなされているのかもしれません。けれども本当に大切なのは、「どのように治すか」という技術を磨く前に、「虫歯を発症させないためにはどうしたらよいか」であるはずです。原因をなくさなければ、虫歯はなくなりません。まずは、虫歯に対しての考え方そのものを変えていきましょう。虫歯になるかならないかは、本当なら自分で決めることができるのです。

ポテトチップスとアイスクリーム、どっちが歯に悪い?
どのような時に、人は虫歯になってしまうのか。
それは三角関係のバランスが崩れてしまった時でしたね。「脱灰」に働く力が強くなったり、「再石灰化」に働く力が弱かったりすると、「脱灰」が進んで歯が溶かされ続け、虫歯になってしまいます。では、その原因は何でしょうか。そこには3つの大きな秘密があります。

虫歯の原因 ヒミツ1
甘い物=虫歯の原因とは限らない

ここで1つ質問です。ポテトチップスとアイスクリームでは、どちらが虫歯の危険性が高いと思いますか?普通に考えるとアイスクリームんぽような気がしますが、実は「甘いから歯に悪い食べ物」で、「甘いから歯に良い食べ物」ではないのです。子供の頃から、甘い物を食べると虫歯になると教えられてきましたよね。虫歯菌は甘い物が大好物。それは間違いはありません。甘い物に含まれている砂糖の主成分である「ショ糖」が、虫歯の原因にある「酸」を一番作りやすいのです。ではショ糖を取らなければ、虫歯にならないのでしょうか。
実は私たちのエネルギー源であるブドウ糖や、果実に含まれる果糖など、ほかの糖類でも産は作られます。また、ほとんどの料理や食品には、多少なりとも糖が含まれています。つまり、甘い物を取らなくても、毎回の食事の度に酸は作られているのです。食べ物が口の中に入ると、2~3分でプラークが賛成に傾いて、歯の表面を溶かし始めます。これが、「脱灰」です。その後、唾液の力で約20~40分かけて歯の表面を元通りに治していきます。これが「再石灰化」です。ここで時間に注目してください。脱灰は2~3分で始まるのに、再活性化には約20~40分もかかります。つまり、再石灰化で歯の表面が元に戻る前に食べ物が入ってしまうと、また脱灰が始まって、歯の表面はほとんど溶かされていってしまうのです。そのために、アイスクリームのように、糖分は多いけれど流れやすくて歯に残らない物より、ポテトチップスのように、甘くはないけれど長時間、口の中に残ってしまうものの方が、虫歯の危険性が高いこともあります。しかも、ポテトチップスなどのお菓子は、だらだらと食べ続けてしまうことが多いので、余計に脱灰の時間が長くなってしまいます。最も危険なのは、甘くて口の中に残りやすい食べ物です。例えば、キャラメルやあんこ、クッキーなどです。それから、酸性で歯を溶かす恐れのある飲食物も危険です。ワインやお酢、グレープフルーツやレモンなどの柑橘系の食べ物も実は歯には危険だということをご存じでしたか?酸が含まれる飲食物を頻繁に取っていると、再石灰化が間に合わず、虫歯と同じように歯を溶かしてしまうのです。夜寝る前に黒酢ドリンクを飲むのを習慣にしていたり、お肌のためにと、ビタミン豊富なレモンやグレープフルーツを毎日必要以上に食べていたりして、歯が溶けてしまった人もいます。
もちろん、これらを決して飲食しないように、というわけではありません。問題なのは、ひんぱんに口に入れてしまうこと。酸性の飲食物をとることで、口の中が酸性に傾いている時間が長くなってしまうことが危険なのです。
また、スポーツ飲料や栄養ドリンクも、実はとても酸性が強いので、就寝前に飲んで、そのまま寝てしまうと、かなり危険です。野菜ジュースは乳酸飲料も酸性なので、お子さんに与える時は注意しましょう。長時間かけて、ちびちび飲むことや、飲んですぐ寝かせてしまわないように注意してください。

このような酸性の飲食物をとった時の対策としては、お茶や水で口をすすぐようにすること、そしてすぐに歯みがきをしないことです。
ここは、気をつけてくださいね。食後すぐに歯をみがいてはいけないのです。酸によって歯の表面が溶け始めている状態で、歯ブラシによる刺激を与えてしまうと、よけいに歯が削れてしまうことがあります。
再石灰化で歯の表面が元に戻るまで、30分くらいは歯みがきをひかえましょう。ほかにも、食後にシュガーレスのガムを噛むことや、歯みがき時にフッ素入りの歯みがき粉を効果的に使うこともオススメです。

酸性の飲食物に限らず、間食を何度もとるような食習慣を持つ人は、常に口の中が酸性に傾いて、再石灰化できる時間がないため、むし歯の危険性がとても高くなります。
ポイントは「脱灰」と「再石灰化」の時間が、トータルで、どちらがどのくらい長いか、なのです。
間食をすること、飴、ジュース、砂糖の入ったコーヒー、酸性の飲食物などは、ひんぱんに口に入れてしまうことが問題で、その時すでに歯は溶け始めています。
むし歯予防においては、歯を溶かさないようにすること、つまり「再石灰化」がスムーズに行えるように、食事のとり方を正しくすることが、とても重要になります。