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メタボは歯周病になりやすい

こんにちは。世田谷区三軒茶屋、下馬、野沢エリアのふじわら歯科医院です。
まだまだ寒い日が続きますね。今年はインフルエンザが大流行とのことなので、
お体にはくれぐれも、お気をつけてください。
さて、

すっかり定着したメタボリックシンドローム。
 内臓脂肪の面積が一〇〇平方センチメートル以上あり、血圧、中性脂肪あるいはHDL(善玉コレステロール)、空腹時血糖値のうち二つ以上の検査結果が基準値を上回っている場合、メタボリックシンドロームと診断される。目安としておへそのまわりの数値が男性で八五センチ以上、女性は九〇センチ以上あると内臓脂肪系の肥満の可能性が高いとされる。
中年太りといわれるが、男性と女性の脂肪のつき方の違いがある。男性の場合は、おなかがぽこんと飛び出したような脂肪のつき方をするので「リンゴ型」、女性の場合は、お尻を中心に脂肪がつくので「洋ナシ型」と表現される。内臓脂肪というのは内臓のまわりにぴったりとつく脂肪のことで、男性に多い「リンゴ型」がこれに当たる。
メタボを日本語にすると代謝症候群で、生活習慣病を誘発するリスクが高くなるといわれる。研究が進み、メタボになると生活習慣病だけではなく、歯周病の発症率が高くなるという結果も発表された。
 これを発表したのは、九州大学大学院歯学研究の斎藤俊行教授のグループだ。
 二〇歳から五九歳の二四一人を対象にBMI体重[kg]÷身長[m]の二乗で算出する体格指数)と歯周病の関係を調査した。すると、肥満の人は歯周病に罹っている率が高いことがわかった。
 BMI値が二〇未満の指数を一とすると、二〇~二四・九の人が歯周病に罹患している割合は一・七倍に、BMIt値が二五~二九・九(肥満度一)の人だ三・四倍、BMI値が三〇以上(肥満度二)の人では八・六倍にもなることがわかった。標準体重に比べて肥満者は、八倍以上歯周病に罹患している。
 しかも体脂肪率が五パーセント上がるごとに、歯周病に罹るリスクが一・三倍に上昇するという結果になった。他のリスクファクターになりうる数値を加えて分析しても、肥満者は歯周病を罹患するリスクが高い。
 その後原因を究明する研究が行われ、脂肪細胞に関係していることがわかってきた。脂肪細胞は余ったエネルギーを貯蔵しておく場所だが、実は他にも様々な働きをしている。
 脂肪細胞は、生命維持に欠かせないホルモンなどを生み出す分泌器官だというのだ。脂肪細胞はレプチンという、飽食ホルモンを出している。
 分泌されたレプチンが視床下部にある満腹中枢を刺激することで、食欲の抑制とエネルギーの消費を増やすような働きをすることが発見された。一九九四年のことだ。食欲をコントロールするホルモンが脂肪細胞から出ているとは驚きだ。
 人間の体内には、平均して三〇〇億から六〇〇億個の脂肪細胞があるといわれ、食べすぎや運動不足で余った脂肪が細胞の中に取り込まれる。すると細胞自体が大きく膨れていく。東京医科歯科大学難治疾患研究所の小川佳宏教授の研究では、肥満細胞が巨大化するだけでなく、免疫細胞のマクロファージが入り込んで増殖し、炎症を起こすTNF-aなどの腫瘍壊死因子を全身に送り出していることがわかった。
 この因子が増えすぎると血管が詰まりやすくなり、するとさらにマクロファージが増えて脂肪細胞を活性化させる。そして炎症を起こさせる複数の物質の集まりである炎症サイトカインが分泌される。太って脂肪細胞が巨大化しただけで、炎症を起こさせる物質が体内に大量に排出される。メタボの人の血液検査をすると、炎症を示す高感度CRPマーカーの数値が基準よりも高くなっていることで、これが証明される。
 実はこの一連の働きが、歯周病を悪化させる。
 歯周病菌による歯槽骨の吸収は、腫瘍壊死因子TNF-aの感受性が高くなり、マクロファージの働きが悪くなり結果として歯周病が悪化するというわけだ。
 さらに怖いのは、肥満細胞から分泌されるアディポサイトカインの仲間のPAI-1(Plasminogen Activator inhibitor-1)が血液の凝固を促進し、虚血性心疾患にも関与している。血中にPAI-1が増加すると、歯周組織の毛細血管にも血液が流れにくくなるので歯周病も促進する。
 少し難しくなったが、つまりは太っているということ自体が炎症が起こっているということなのだ。この炎症が歯周病を悪化させる。

つまり、生活習慣病と歯周病は深く関わり合いがあるということです。